良寛と”無常の速さ”
今年も紅葉が綺麗ですね。
「裏をみせ表をみせて散るもみじ」
良寛が晩年の恋人・貞心尼に贈った辞世の句。
この句は、最も劇的にそして最も哀切に、”無常感”を表現しています。
松岡正剛さん曰く、「「無常の速さ」をどこで見るか、外でもない。中ではない。すれすれに無常の活動とともに、見る。そこが良寛だった」と。
また、「良寛の生き方は、なぜ、弱っちくてはいけないのか、なぜ、寂しくちゃいけないか。そう、良寛は問うたのだ。
弱いのは当たり前、淋しいのはもっと当たり前、それでいいじゃないかと問うた。」とも。
ちなみに貞心尼はとても美しい女性だったそうです。
彼女は長岡城下の藩士の娘で、17歳で医者に嫁いだものの離婚。23歳で剃髪しました。それから良寛にずっと憧れ、敬慕します。30歳のときに良寛に出会い、二人は恋に落ちます。
その時、良寛は70歳。
良寛が死ぬまでの数年間、お互いを慈しみ敬愛する恋愛が続きました。
素敵な恋ですが、当時良寛はすでに知られている人でしたから、今の時代ならどのように報じられてしまうのでしょうか。
形見とて/何か残さむ/春は花
夏ほととぎす/秋はもみじ葉
(良寛)